選ばれる文章
読みやすいWeb文章の書き方|画面で伝わる文と段落の基本
文さん(常連客・随筆家)
文さんです。今日は画面で読まれる文章の整え方を、一つずつ棚に分けて見ていきましょう。
Web文章の読みやすさは、才能ではなく手順で決まります。紙とは読まれ方が違うことを前提に、書く前・書いている間・公開前の3つの段階で、直す場所を決めておくと安定します。ここではその順に並べます。
紙より先に読み方の違いを知る
同じ日本語でも、画面で読まれる文章は扱われ方が違います。まずその前提を押さえます。
上から順に読まれるとは限らない
Webの読者は、検索結果から特定の疑問を持って来ます。そのため、冒頭から順に読むのではなく、自分の知りたい箇所を探して飛びます。最後まで読んでもらえる前提で書くと、結論が最後に来て伝わりません。
見出しと箇条書きが目印になる
飛ばし読みをする読者にとって、見出しは道しるべです。見出しを見て、必要なところだけ本文に入ります。並んだ情報を箇条書きにしておくと、目で拾いやすくなり、探す時間が短くなります。
スマートフォンでは一段落が長く見える
パソコンで3行に見える段落も、スマートフォンでは6行や7行になります。書いているときは適量に感じても、読者の画面では壁のように見えることがあります。段落は短めに切り、迷ったら分けるほうが安全です。
書く前に一人の疑問を決める
書き始める前の数分で、読みやすさの大半が決まります。3つだけ先に決めます。
誰のどの場面に答えるか
読者を一人思い浮かべ、その人がどんな場面でこの文章を開くかを決めます。「初めてサイトを作る人が、公開直前に不安になって調べている」というくらい具体的にします。相手が決まると、説明の深さも言葉づかいも決まります。
読後に決められること
読み終えた人が何を決められるようになるかを、一文で書きます。「どちらを選ぶか決められる」「次の作業を始められる」といった形です。これが書けないときは、内容がまだ絞れていません。
今回は扱わない範囲
書かないことも先に決めます。関連する話題は無限に広がるため、扱う範囲を決めないと、書くほど焦点がぼやけます。外した話題は、別の記事に回すと決めておけば安心して省けます。
予約前の文章へ進む場合は、料金ページの書き方、予約キャンセル規定の書き方、Instagramプロフィールから予約へ送る文章のように、読者がその場で決めたい一つの課題へ分けます。
結論から記事の骨組みを作る
いきなり本文を書き始めず、骨組みを先に作ります。ここが決まると、書く速度も上がります。
一文の答えを書く
読者の疑問に対する答えを、まず一文で書きます。この一文が記事の芯になり、冒頭にも置きます。一文にまとまらない場合は、疑問が大きすぎるか、複数の疑問が混ざっています。
答えに必要な理由を並べる
その答えを支える理由を、3つから5つ並べます。多すぎると散らかり、少なすぎると根拠が弱く見えます。並べたら、読者が知りたい順に入れ替えます。書きたい順ではなく、読みたい順です。
手順・比較・例へ分ける
理由が並んだら、それぞれをどう説明するかを決めます。作業なら手順、選択なら比較表、分かりにくい概念なら具体例が向きます。説明の形が決まると、本文はほとんど埋めるだけになります。
一文一義で読みやすくする
骨組みができたら本文を書きます。文の単位で効く直し方を3つ挙げます。
主語と述語を近づける
主語と述語の間に説明を挟むほど、読者は結末を待たされます。「私は、昨日届いた資料を確認したうえで、修正が必要だと判断しました」のような文は、間の説明を別の文に分けると軽くなります。長い修飾は前後どちらかに逃がします。
一文へ情報を詰めすぎない
1つの文で言うことは1つに絞ります。「そして」「ので」「が」でつないで文を伸ばしていると感じたら、そこが切れ目です。読点が4つも5つも並ぶ文は、たいてい2つか3つの文に分けられます。
指示語を具体語へ戻す
「これ」「それ」「この点」は、書き手には明らかでも読者には曖昧です。飛ばし読みされる前提では、何を指すか分からなくなります。指示語を見つけたら、指しているものに置き換えられないか試します。
段落・見出し・箇条書きを使い分ける
文がそろったら、まとまりの単位を整えます。ここは見た目の読みやすさに直結します。
一段落一話題
1つの段落では1つのことだけを言い、話題が変わったら改行します。段落の最初の一文に要点を置くと、そこだけ読んでも意味が通ります。長い段落は、内容ではなく話題の切れ目で分けます。
見出しだけでも流れを通す
見出しだけを上から読んで、記事の流れが分かるかを確かめます。分からなければ、見出しが飾りになっています。「〜について」ではなく、中身が想像できる言葉にすると、目印として働きます。
並列情報をリストにする
同じ種類の情報が3つ以上並ぶなら、箇条書きにします。文章のまま並べると、どこまでが1つの項目か分かりにくくなります。ただし、リストばかりの記事は説明が抜け落ちるので、理由や補足は文章で書きます。
事実・体験・意見を分ける
読みやすさは信頼と結びついています。書いている内容の出どころを、読者が区別できるようにします。
出典と確認日を示す
金額や仕様のように変わる情報は、どこで確認したものかと、いつ確認したかを添えます。日付があるだけで、読者は情報の鮮度を自分で判断できます。時間が経って古くなったときも、直す場所がすぐ分かります。
自分で確かめた範囲を書く
自分が実際に試したことは、その条件まで書きます。どんな環境で、いつ、何をしたのかが分かると、読者は自分の状況に当てはまるかを判断できます。逆に、試していないことを試したように書くと、一度で信頼を失います。
推測を事実のように書かない
「おそらくこうだろう」と考えたことは、そう分かる形で書きます。断定したほうが文章は強く見えますが、外れたときの損失のほうが大きくなります。分からないことを分からないと書くのは、弱さではなく誠実さです。
公開前に声を出して推敲する
書き終えてからが仕上げです。読むのではなく、声に出すのが要点です。
重複と長い前置きを削る
同じことを別の言い方で繰り返している箇所と、本題に入る前の長い前置きを削ります。書いている間に必要だった助走は、読者には要りません。削って意味が変わらなければ、それは不要な文です。
語尾と接続を確認する
同じ語尾が3つ続くと、単調に感じられます。「〜ます」が並んだら、体言止めや文の順序を変えて崩します。接続詞も、なくても通じるものは外すと文章が引き締まります。
スマートフォンで読み直す
公開前に、実際のスマートフォンで表示して読み直します。段落の長さ、見出しの間隔、表の見え方は、書いていた画面とは違って見えます。声に出して読み、つっかえた場所に印を付けると、直すべき箇所がそのまま見つかります。
練習用の短い文章を直してみる
最後に、直す感覚をつかむための練習例を挙げます。実在の文章ではなく、よくある形を集めた例文です。
直す前の文はこうです。「当店では、地域の農家から直接仕入れた新鮮な野菜を使い、化学調味料をできるだけ使わないよう心がけながら、お子さま連れのお客さまにも安心して召し上がっていただけるメニューをご用意しておりますので、ぜひ一度ご来店ください。」
直したあとはこうなります。「地域の農家から直接仕入れた野菜を使っています。化学調味料はできるだけ使いません。お子さま連れでも選びやすいメニューをそろえています。」
直した理由は3つです。1つめは、1つの文に4つの内容が入っていたので、内容ごとに文を分けたこと。2つめは、「〜ておりますので」という長い接続を切り、文を言い切りにしたこと。3つめは、最後の呼びかけを外したことです。呼びかけは、読者が判断するための材料をそろえたあとに置くほうが効きます。
まとめ
読みやすいWeb文章は、書く前に読者と答えを決め、結論から骨組みを作り、一文一義と一段落一話題で整え、公開前に声に出して読み直すという順で書けました。どれも才能ではなく手順です。ブログの開設やサイト全体の構成は、それぞれの専門記事で扱います。
よくある質問
- 文章は長いほうがよいのでしょうか。
- 長さそのものは目的になりません。読者の疑問に答えるのに必要な情報がそろっていれば足りますし、必要がないのに長い文章は読み飛ばされます。書き終えたあとに、なくても意味が変わらない段落を削っていくと、たいていの文章は読みやすくなります。
- うまい文章が書けません。何から直せばよいですか。
- まず一文を短く切るところから始めてください。読みにくさの原因は、語彙や表現力より、一文に情報を詰め込みすぎていることのほうがずっと多いためです。1つの文で1つのことだけを言うようにすると、それだけで印象が変わります。