白髪ストレス

ポツポツと白髪が出てくると最初の頃はショックを受けたのではないでしょうか?昔はキレイな黒髪だったのに!っと。

白髪原因の一つに"ストレス"があげられます。

"ストレス"が白髪の原因というのは本当なのでしょうか?

科学的に証明している情報があるのか、調べてまとめました。

白髪の原因については、女性の白髪の原因まとめを参照ください。

 

白髪の原因がストレスって科学的には嘘?

結論からいうと、「白髪とストレスは無関係とは言えない」です。

長期的な物理的ストレスと白髪の相関性を示す論文はありますが、ズバッと心の辛さなどの心理的ストレスが白髪にリンクしているという論文は今のところ見つかりませんでした。

長期的な物理的ストレスと白髪の相関性を示す論文:Direct migration of follicular melanocyte stem cells to the epidermis after wounding or UVB irradiation is dependent on Mc1r signaling

どういうことか説明するためには、まずは「ストレス」という言葉を分解して理解する必要があります。

ストレスってなに?

わたしたちのイメージするストレスというのは、心がしんどくなったり、プレッシャーで嫌な気持ちになったりするストレスですね。しかし医学に関わる科学的な意味においてのストレスは、かなり広い範囲の意味で使われます。

岩波書店 広辞苑 第五版から引用すると、医学用語としてのストレスの定義は

「種々の外部刺激が負担として働くとき,心身に生ずる機能変化.ストレスの原因となる要素(ストレッサー)は寒暑・騒音・化学物質など物理化学的なもの,飢餓・感染・過労・睡眠不足など生物学的なもの,精神緊張・不安・恐怖・興奮など社会的なものなど多様である.」

という説明があります。要するに、ストレスというのはかなり漠然とした言葉なわけですね。

ストレスの種類を分類すると、主に次のような分け方が可能です。

  • 心理的ストレス(怒り、不安など)
  • 生物的ストレス(睡眠不足、過労など)
  • 物理的ストレス(騒音、紫外線など)
  • 化学的ストレス(酸素、化学物質など)

日常生活で一般的に使われているのは、上でいうところの心理的ストレスか、生物的ストレスとなります。

ストレスと白髪の相関性を示す論文について

上で紹介した2013年のニューヨーク大学のNature Magazineという超有名な科学雑誌に記載された研究では、たしかにストレスと白髪と関係していることを示していました。

ただし、内容としては要約すると次のようなことを言っています。

長期的に継続してUVB(紫外線)を照射するストレスは、髪の色を決定するメラニン細胞を枯渇させてしまうことを発見した。それは、ストレスによって幹細胞が毛包からなくなってしまい、毛髪が灰色か白色になることを発見。

つまり、上で紹介した分類でいうところの物理的ストレスと白髪の相関性を示しています

わたしたちの思うような、

  • 夫や妻が腹立たしくて白髪に・・・
  • 上司が嫌で白髪に・・・
  • 子供が言うこと聞かなくて白髪に・・・

といった心理的ストレスによる論文は未だ見当たらないです。

ただし、

  • 上の論文で示している紫外線などの物理的ストレス
  • 劇薬などの化学的ストレス
  • 睡眠不足や栄養不足などの生物的ストレス

は白髪になることは明らかにされている周知の事実です。

心理的ストレスは白髪と関係について

心理的ストレスと白髪の関係が取り上げられる理由

心理的ストレスと白髪は科学的に関係があると言い切るのは、嘘になります。

なぜなら上で説明した通り、心理的ストレスと白髪の相関性は、未だ論文といった科学的な証明がされているものはないからです。

白髪と心理的ストレスが話題にされる理由としては、白髪が増える年代にヒントがあります。

白髪が増える年代は、男性も女性もだいたい35才~40代となります。

50代になると、半分が白髪というのが、平均的といわれています。

35才~40代というのは、仕事も家庭も一番忙しい時期といえます。

仕事では大きな仕事を任され責任が重くなったり、子育てや子供の養育費で金銭的にも圧迫されてストレスを感じる世代です。

たしかに、35才~40代は、心理的ストレスを感じやすい世代です。

それと同時期に白髪が増えることから、心理的ストレスとリンクされたという可能性が高いです。

心理的ストレスは白髪と無関係といえるのか?

たしかに心理的ストレスと白髪の関係を証明する科学的証拠はないですが、それはただ単に「まだ証明されていない」だけかもしれません。

科学的な証明がまだされていないからといって、「心理的ストレスと白髪は無関係です。」とは言い切れないです。

心理的ストレスと白髪は無関係と言い切るのであれば、科学的無関係であることを証明する必要があるからです。

追記:ハーバードの白髪とストレスの研究

2020年1月23日に話題になったのが、この記事「ストレスで白髪、メカニズム解明 米大研究チーム」。

元ネタは、ハーバード大学の研究によるもので、多くの著名な科学者が関わっています。

Feel like kids, spouse, work giving you gray hair? They may be

この記事でいうストレスは「心理的ストレス」と定義されているわけではありませんが、心理的ストレスを含んだニュアンスで書かれています。

  1. 身体全体がストレスに反応
  2. ストレスが交換神経にノルアドレナリン(noradrenaline)を分泌させる。
  3. 幹細胞が過剰に活発になる
  4. いくつかの幹細胞は色素細胞へ移動し、その他は皮ふなどへ移動する。
  5. 幹細胞が枯渇する
  6. 新しい髪ができたときに、色素細胞を作る幹細胞がない状態となる。
  7. 色素細胞がない髪は白髪となる。

 

この研究により、白髪とストレスのつながりについて、分子レベルで科学的に説明することができるようになったと書かれています。

“With this study, we now know that neurons can control stem cells and their function, and can explain how they interact at the cellular and molecular levels to link stress with hair graying.”

 

白髪とストレスの関係について、証明が難しいだけで無関係ではないと考え、日々の行動の選択に気をつけた方がいいことを気づかされる記事です。

まとめ

白髪とストレスの関係はストレスの種類によっては証明されているということがわかりました。

そして、ストレスで一番よく使われる心理的ストレスに関しては白髪との関係性を証明している科学的な論文はまだないことがわかりました。(追記:ハーバード大学の研究で白髪とストレスの関係が分子レベルで明らかになりつつあります)

科学的証拠に絞って結論をいえば、心理的ストレスと白髪とのリンクはあるとは言えないとなります。

とはいえ、心理的ストレスと白髪は無関係であると証明する科学的な論文もありませんでした。

要するに、心理的ストレスと白髪の関係性はまだわかっていないだけと考える方が合理的です。

科学というのは日々進歩しているので、「まだ証明されていない」ことは山ほどありますし、世の中科学だけでは説明がつなかいこともたくさんあります。

また、「仕事がうまくいかずに辛くて、食事がのどを通らない」ことや、「人間関係がうまくいかず、不安で眠れない」ことは経験したことはないでしょうか。

これらの「心が辛い」や「不安」という心理的なストレスが、食事(栄養不足)や睡眠不足といった生物的ストレスに間接的に関与していることは、経験上わかっているという人もいるかと思います。

上のような経験をしたことがある人や、心と体がつながっていることを信じる人は、辛いとかしんどいといった心理的ストレスが、白髪につながる可能性もあると考えて、日々行動選択する方が賢明です。

個人的には無関係なはずはないと思いますが、心理的ストレスという漠然としたものと白髪のリンクをどう証明するのかが課題なのかなと思っています。